2020年07月02日

【Dance Archive Network News 30】今月のイベントのお知らせ

2020年7月2日発行

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NPO法人ダンスアーカイヴ構想(Dance Archive Network−DAN)
http://dance-archive.net/
(大野一雄舞踏研究所のアーカイヴ活動を引き継いだNPO法人ダンスアーカイヴ構想の活動を、不定期のメールニュースでお知らせします)
Facebook : @DanceArchiveNetwork / Twitter : @dance_archive / Instagram : @dancearchivenetwork

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世界中でまだまだ大変な状況が続いています。そのような中ではありますが、公演、ワークショップ、オンラインビデオ番組など、今できる活動から静かに再開しています。どうぞご参加下さい。


●●● オンライン舞踏番組「Re-Butoooh」(リ・ブトー)配信開始 ●●●
各号約30分のオンライン舞踏番組創刊号を配信しています。
特設サイトをご覧下さい。視聴料無料、日英バイリンガル。
http://www.dance-archive.net/re-butoooh/

当団体はこれまで、舞踏をはじめ日本洋舞史に関わる資料を収集保存し、それらを活用した創作活動を推進してきました。ライブでの活動が制限される現況下で、映像というメディアを用いて何ができるかを考え、この度オンライン番組「Re-Butoooh」の制作と配信を始めることにしました。
2020年6月30日の創刊号を皮切りに、不定期配信します。

編集部:飯名尚人、川口隆夫、呉宮百合香、本田舞、松岡大、溝端俊夫
ピアノ演奏:星野紗月


●●● ダンスハ體育ナリ? 其ノ2.5 札幌編 「木野彩子、きのさいこを語る」 ●●●
構成・演出・出演・映像  木野彩子

木野彩子レクチャーパフォーマンスシリーズでは、これまで「ダンスハ體育ナリ 其ノ一 体育教員トシテノ大野一雄ヲ通シテ」(2016)、「ダンスハ體育ナリ? 其ノ弐 建国体操ヲ踊ッテミタ」(2018・2019)を発表してきました。そして再演を繰り返しながら時勢に合わせ改訂を重ねてきました。このたびはその第三弾に向けて「ダンスハ體育ナリ? 其ノ2.5 札幌編」として、「木野彩子、きのさいこを語る」を発表します。
本公演は、現況に鑑み、少数観客限定で公開すると同時に、木野自身の自撮り撮影によるZOOMライブ配信を行います。皆様のご来場、ご高覧を心よりお待ちしております。

[日時]2020年7月5日(日) 14:30 開演 (上演時間 約70分)
[会場]カナモトホール (札幌市民ホール) 第2会議室
    +同時刻にZOOMにてライブ配信
[料金]公演&配信とも無料・要予約

【ご予約方法】
■ 会場でご覧になるお客様 ■
以下の情報をお書き添えの上、info@dance-archive.net宛にメールでお申し込みください。
(1)お名前 (2)人数 (3)お電話番号
新型コロナウイルス流行の影響により、人数制限がございます。お早めにご予約ください。

■ ライブ配信をご覧になるお客様 ■
同時刻にZOOMライブ配信も行います。視聴無料です。
事前にZOOMのリンクをお知らせしますので、以下の情報をお書き添えの上、info@dance-archive.net宛にお申し込みください。
(1)お名前 (2)ZOOMでの表示名(ニックネーム可)
技術環境により、配信に不具合が生じる場合があります。あらかじめご了承ください。

[イベント詳細]
https://www.facebook.com/events/977342099445702/


●●● 川口隆夫「大野一雄について」オンラインワークショップ ●●●
記録映像からダンスをコピーする。
映像に残された他者の身体の情報を、自己の身体に写し込む。

「大野一雄について」は、舞踊家・大野一雄の踊りを川口隆夫がコピーした舞台作品です。残された記録映像から、踊りを「コピー」という手法で読み取り、踊り直します。このワークショップでは、「大野一雄について」の創作過程で実際に行ってきた方法を参加者のみなさんと行います。
大野一雄の初演記録ビデオ(抜粋)を見て、その踊り/動きを「コピー」することを試みます。細かな小さな動きや、身体やその周りに生成する空間の連なり、意識・無意識を問わず、つまづきやズレに至るまで細部を細かく観察し、あたかも身体を彫刻するように、「形」を自分の身体へと写しとっていきます。

今回は、大野一雄の稽古場「大野一雄舞踏研究所」から生配信します。稽古場の風景も楽しみながら、ワークショップを受講できます。

[日時]2020年7月11日(土) 11:00-15:00 (12:00-13:00 ランチ休憩)
[会場]Zoomによるオンライン開催
[定員]30名(先着順・要事前申込)
[参加費]2,500円

※日本語によるワークショップのため、英語通訳はありません。

【参加お申し込み】
Peatix https://ako-onlineworkshop.peatix.com/
お申し込みいただいた方に、詳細をご連絡いたします。申込時に必ずご連絡先をご記入ください。


●●● 水谷勇夫と舞踏 ●●●
コロナ禍により休館となっていた「水谷勇夫と舞踏」展は、 6月25日より再開しました。大野一雄・慶人「蟲びらき」公演の舞台美術を展示しています。ぜひお立ち寄り下さい。

[会期]2020年6月25日(木)-9月6日(日)
[会場]愛知県美術館
https://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/000268.html

ヴァーチャルギャラリーを以下のリンクからご覧頂けます。
http://aichiweb.link/isao1/isao_mizutani_1.htm
http://aichiweb.link/isao2/isao2.htm
http://aichiweb.link/isao3/isao3.htm

また、本展のカタログもまもなく発売されます。
水谷勇夫と舞踏:『蟲びらき』をひらく
https://www.amazon.co.jp/dp/4908627568/

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【発行】NPO法人ダンスアーカイヴ構想
Email: info@dance-archive.net
Tel/Fax : 03-3450-6507
【配信停止】お手数ですが、本メールを info@dance-archive.net にご転送下さい。
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2020年06月30日

オンライン舞踏番組「Re-Butoooh」配信開始のお知らせ


30分のオンライン舞踏番組 「Re-Butoooh」

2020年6月30日より配信開始!




 


アーツカレンダー 様


 


新型コロナウイルスの世界的流行により、舞台芸術に関連する様々なイベントが延期される一方で、映像のオンライン配信が盛んに行われています。様々な劇場やカンパニー、アーティストが映像公開に乗り出す現在は、アーカイヴに対する関心がかつてないほど高まっている時代といえるでしょう。


当団体はこれまで、舞踏をはじめ日本洋舞史に関わる資料を収集保存し、それらを活用した創作活動を推進してきました。ライブでの活動が制限される現況下で、映像というメディアを用いて何ができるかを考え、この度オンライン番組「Re-Butoooh」の制作と配信を始めることにしました。


土方巽や大野一雄のアーカイヴが90年代から構築されてきた事実からうかがえるとおり、舞踏はアーカイヴの整備が比較的進んでいるジャンルです。その強みを活かし、様々に蓄積されてきた資料から今日の表現を支える「歴史」を紐解いていくことで、舞踏に限らずダンス全体のリテラシー向上を図る中長期的なプロジェクトとしていきます。



2020年6月30日の創刊号を皮切りに、不定期配信します。


 


「Re-Butoooh」は、二つの意味をもつ造語です。第一に「舞踏について(Re: Butoh)」であること、第二に「舞踏をリブート(再起動)する」ことです。日本から世界に広まり、各地で多様な発展を遂げている「舞踏/Butoh」は、半世紀にわたる歴史を刻んでいます。本番組では、舞踏の記録映像を紹介するだけにとどまらず、その創造に深く関わった人物や、実験精神を今に受け継ぐアーティストたちを取り上げることで、20世紀のダンスを変えたこの芸術形式に新たな光を当て、多くの人が身近に触れることができる文化財産として共有することを目指します。






■■■ 企 画 概 要 ■■■

番組名 「Re-Butoooh」(読み:リ・ブトー)


サブタイトル Dance Videology


公開日               2020年6月30日より創刊号配信  2021年6月末まで公開


公開方法           特設ウェブサイト上に順次公開


                          http://www.dance-archive.net/re-butoooh/


長さ                  各号約30分


言語                  日英バイリンガル


視聴料               無料


 


編集部:飯名尚人、川口隆夫、呉宮百合香、本田舞、松岡大、溝端俊夫(50音順)


ピアノ演奏:星野紗月


 


主催 :NPO法人ダンスアーカイヴ構想


 




■■■ 番 組 の 特 徴 ■■■


■ 「Re-Butoooh」は「アーカイヴ」である


膨大なアーカイヴの中から、舞踏の世界を知るためにぜひともご覧いただきたい映像を選りすぐりました。歴史的貴重映像から新撮映像まで、様々なコンテンツを独自の視点から編集し、その魅力と面白さをわかりやすく多角的に紹介します。アーカイヴとは、すべての人へ開かれた、未来の文化創造に取り組む活動です。本番組は、そのような未来形のアーカイヴの実現を目指すひとつの試みです。


 


■ 「Re-Butoooh」は「雑誌」である


雑誌のように様々なトピックを扱い、さらりとした軽妙なタッチで視聴者を奥深い舞踏の世界に誘います。毎号の特集記事は約15分、ショートコーナーは1〜2分。今を記録する取材もどんどん行っていきます。各トピックの背景や更なる詳細は、特設サイト上に掲載します。また番組全体を彩る音楽には、即興演奏を専門とし、フランス各地の映画祭でサイレント映画の伴奏を手がけるパリ在住のピアニスト星野紗月(さつき)を招きます。


 


■ 「Re-Butoooh」は「ネットワーク」である


当団体が収集保存するアーカイヴ資料を紹介するだけではなく、編集部メンバーが持つネットワークを最大限活用して、国内外のアーティストや機関からも資料やコンテンツ、企画アイデア等の提供を積極的に受け、グローバルかつ柔軟な発想による交流と制作を行います。また、オンライン配信おいて大きな課題である権利問題に適切に対処することで、舞台芸術分野におけるノウハウを蓄積し、次代に向けた指針作りに貢献します。


 


 


舞踏/Butohとは?


戦後日本で生まれた前衛的身体表現。1920年代のドイツ・モダンダンスにその源流を持ちながら、西洋の舞踊概念を打ち破る独自の境地を切り開きました。土方巽「禁色」(1959)が最初の作品とされます。70年代後半より「Butoh」の名で世界中に広まり、現在では世界各地で舞踏フェスティバルが催されているほか、学校教育の授業や教科書でも取り上げられています。


 


 


 


■■■ 創 刊 号 目 次 ■■■


【カーテンコール】大野一雄「ラ・アルヘンチーナ頌」(1977年 初演)


出演:大野一雄、土方巽、池田淑人



公演の作品本体ではなく、カーテンコールを紹介します。カーテンコールは、虚構から現実に戻るパフォーマーの姿と作品本編の残り香が交わる、得も言われぬ感動の瞬間です。「ラ・アルヘンチーナ頌」では、演出の土方巽が舞台に登場し、自ら花束を大野に差し出します。


 


【本棚】セリーヌ・ヴァグネル『地を打つ:土方巽 舞踏への道』 



ダンス書籍を紹介するコーナー。2016年フランスのアクト・スュッド社より出版された、土方巽の生い立ちや作品制作の背景を描く「漫画」をご紹介します。フランスの優れた女性漫画家に与えられる「アルテミシア賞」2017年グランプリ受賞作。


 


【ヒストリー】舞踏の誕生 ウィリアム・クラインの『東京』



アーカイヴ資料からダンスの歴史を垣間見るコーナー。写真家ウィリアム・クラインが1961年に東京を訪れた際、土方巽、大野一雄、大野慶人の路上パフォーマンスを撮影した一連の写真を通じて、オリンピックを控えた東京の街と、舞踏草創期のエネルギーとが交錯する姿を解説します。


 


【インタビュー】江口隆哉・宮操子と前線舞踊慰問


出演:渥見利奈




日本のダンスに関する貴重な証言を紹介するコーナー。当団体が2015年から実施する洋舞インタビューより抜粋します。初回はモダンダンス界の重鎮、渥見利奈。戦前、戦中のモダンダンスを自らの体験から語っていただきます。


 


【アーティスト】川村美紀子


出演:川村美紀子



現在活躍するアーティストを紹介するコーナー。独自の生き方とスタイルを貫く多才なアーティスト、川村美紀子を取り上げます。南房総で暮らす彼女の自撮りショットと、2016年パリ公演より庭園で踊る映像を公開します。


 


【衣裳】大野慶人の「睡蓮」


出演:大野悦子



ダンス作品を構成する重要な要素「衣装」を、様々な角度から紹介するコーナー。今回は、本年1月惜しくも急逝した大野慶人が「睡蓮」(1987)で使った背広を紹介。大野一雄舞踏研究所で衣裳整理をする大野悦子を訪ねて、解説していただきました。


 


【特集】ヨネヤマママコ パントマイムの世界


出演:ヨネヤマママコ、清水寛二



毎回ひとつのテーマに焦点を当てて取材する15分のコーナー。今回は、舞踏とも縁深いパントマイムに光をあてます。日本パントマイム界の草分けで、今も舞台活動を続けるヨネヤマママコのレクチャーパフォーマンスと、話題作「新宿駅ラッシュアワーのタンゴ」(1985 三越劇場)を紹介します。


 


 



次号予告 ------------------------------------------------------------


アーティストたちの日々の稽古を1分間で紹介する体験型コーナー「エクササイズ」を新設!国内外よりお届けします。


また、川口隆夫の最新リハーサル映像も特別公開予定です。


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ご紹介をご検討いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。


 


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NPO法人ダンスアーカイヴ構想(担当:溝端、呉宮)

http://www.dance-archive.net/

E-mail:press@dance-archive.net

TEL:03-3582-9273

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2020年06月21日

'20. 6.21.  柳家喬太郎独演会








柳家喬太郎独演会


会場:県民文化ホール・オレンジ


 柳家やなぎ:そば清


 柳家喬太郎:紙入れ


−中入り−


 林家二楽:紙切り


 柳家喬太郎:ちりとてちん


 どんな噺をするのか事前に示されていなかったから、やなぎが蕎麦を啜るそば清の形態模写を繰り返した際に「普通はここで拍手が…」と零して笑いを取りつつ促したのが、喬太郎の中入り後の演目ちりとてちんでの強烈な臭いに目を白黒させながら、喰わなきゃでも喰えない…ええい!というのを形態模写する師匠の噺への前振りだったとはそのときは気づかなかったが、噺を最初から決めているわけでもないらしいから、たまたまということなのかもしれない。


 さすが当代きっての人気噺家だけあって、枕もネタも滅法おもしろかった。帰宅後、ついつい「ガチャガチャの妄想おねえさんの寿司屋」を画像検索してしまった。まったくオカシナものが流通しているものだと半ば感心した。


 ただコロナ禍のせいで指定席を前後左右1席空ける千鳥模様に組み替えたとのことで、入場に際して整理券との交換を求められ、16列目だった僕と妻は、2階の2列目(たぶん32列目に相当するのだろう)に繰り下げられたために、喬太郎の顔芸がほとんど識別できないという憂き目に。


 おまけに、スタンディングのライブスポットと違って、観客側が騒ぎ立てることなどないうえに一方向を向いた着席に対して、マスクは義務だ、いったん席に着いたらなるべく離席するな、会話は控えろと連呼され、甚だ気分を害した。マスクは飛沫感染防止のためのものとの合理性が失われ、着用自体が目的化している蒙昧こそが、本当に必要な施設や医療機関における資材欠如を引き起こしたと見ている僕には、劇場でのTPO無用の一律マスク着用圧力は、愚の骨頂にしか思えない。










  ヤマ

http://www7b.biglobe.ne.jp/~magarinin/


   (『間借り人の映画日誌』)

http://www.arts-calendar.co.jp/YAMAsan/Live_bibouroku.html

   (『ヤマさんのライブ備忘録』)






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2020年06月07日

“西洋近代美術にみる 神話の世界”展 










'20. 6. 6.   “西洋近代美術にみる
神話の世界”展   
会場:高知県立美術館



序章「古なるものへの憧れ」に続いて四章からなる標題の企画展示を観覧してきた。標題には「神話の世界」とあるが、想像上の古代風俗を描いた作品も含んでの展示なのだから、序章タイトルに示されているように「ギリシャ・ローマ時代への憧れ」展と題するほうが相応しいように感じたけれども、タイトルの訴求力から神話を前面に出したのかもしれないという気もした。どこの章だったか、第U章だと思うが、ニンフを描いた場合などは神話世界を描いたのか古代風俗を描いたのか判然としないといった解説がされていたが、ギリシャ・ローマ神話に描かれる神々の世界は、神話画と風俗画との区別がしにくい程に人間臭い物語世界であって、宗教絵画が描き出そうとするものとは自ずと異なってきているようには、展示作品の数々を観ていて確かに感じた。宗教絵画群には感じられない類の描き手の“憧れ”がいずれの作家たちの作品からも立ち上っていたように思う。



第T章「甘美なる夢の古代」で目を惹いた作品は、少年性を漂わせた女性が月桂冠と同色の緑色の服をまとっていて恰も“月桂樹の精”であるように描かれていた『月桂冠を編む』(フレデリック・レイトン
1872油彩)、神話の世界展なのに何故に風俗画なのだろうと最初に思わせてくれた『お気に入りの詩人』(ローレンス・アルマ=タデマ
1888油彩)と『世界の若かりし頃』(エドワード・ジョン・ポインター
1891
油彩)だった。チラシの表を飾っていた『お気に入りの詩人』では、窓から覗く建造物の輝きが何処か神話性を醸し出しているようにも感じられ、薄衣をまとった女性たちが金魚の泳ぐ室内池だか水浴室で戯れ、まどろむ『世界の若かりし頃』では、遊戯とまどろみの仄めかす現実世界からの遊離が神話世界に通じているように感じられて、とても気に入った。ジョン・ウィリアムス・ウォーターハウスの油彩画『フローラ』(1914頃)は、妙にぼんやりしていて、僕の内にあるウォーターハウスのイメージと違い、意表を突かれた。また、ここでは1階のコレクション展で先ごろ観覧した高知県立美術館所蔵のマックス・クリンガーの『オヴィディウスの変身譚の犠牲者の救済』が展示されていたので、1階ではどうしているのだろうと確かめてみたら、コレクション展では1882年版、ここでは1879年の初版を展示しているのだった。当館は、同じ作品の両方を所蔵しているのかと驚いた。



第U章「伝統から幻想へ」では、二つのリトグラフ作品が気に入った。アンヌ=ルイ・ジロデ=トリオゾンの原画による『ダナエ』(イアサント・オーブリー=ルコント
1824
)に惹かれ、オノレ・ドーミエ作品集の『古代史』のなかの『タンタロスの拷問』1842)が面白かった。ここでは、アングルの『ユピテルとテティス』1807-25頃油彩)も展示されていたのだが、第T章で展示されていた同じ画題のジョン・フラクスマンによる『アキレウスの名誉を救うようゼウスに懇願するテティス』1793ラインエングレービング)のほうが僕は好いように思ったので、チラシにはフラクスマンの作品図版のほうが掲載されていることに納得感が湧いた。



第V章「楽園の記憶」では、ラウル・デュフィの作品群に惹かれ、なかでも『ヴィーナスの誕生』1937油彩)が面白かった。今回の展示で僕にとって最も新鮮に感じられたのは、このラウル・デュフィの作品群だったように思う。また、ここでは高知県美所蔵のシャガール・コレクションのなかでも僕の好きな作品集『ダフニスとクロエ』1957-60リトグラフ)が展示されていて、改めてその色合いの鮮やかに観惚れた。




第W章「象徴と精神世界」で気に入ったのは、ジョルジオ・デ・キリコによるブロンズ作品『孤独な詩人』1970)とマッタによるエッチング、アクアチント作品『薄暗いアーチのある時間』1973)だった。各章に思いのほか数多くの著名作家による作品が展示されていて驚いたが、特に目を惹く作品でもなかったことが却って興味深く感じられた。















  ヤマ

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   (『間借り人の映画日誌』)

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   (『ヤマさんのライブ備忘録』)






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2020年05月20日

'20. 5.17. 「収集→保存 あつめてのこす」展 会場:高知県立美術館









'20. 5.17.   「収集→保存
あつめてのこす」展     
会場:高知県立美術館



館蔵品からの展示として「収集
みんなのコレクション」と「保存
過去と未来の中継地であるために」の二つに分けて「展観することで、…これまでの作品収集にまつわる歩みを可視化すると共に、作品をいかにして次世代へと残し伝えていくかという課題にも向き合おうとするものだ」(頒布リーフレットP3)という展覧会を観覧してきた。契機は、耐震化工事に伴う休館中の収蔵作品の調査及び整理作業だったようだが、公立館として負っているもののなかで、美術館というものの存在証明に直結する問題に館として改めて向き合った結果を提示するのは、職員にとっても県民にとっても、非常に有意義な好企画だと思った。



3つのカテゴリー“1
新たなコレクション”“2 めぐりめぐってこの場所へ”“3
コレクション・ハイライト 1980-90’s”からなる「収集」では、三年前に亡くなった高崎元尚<http://www.tosakpc.net/main1-9.html#p0159 >『装置66-6'66]ほかの作品及び資料15点が目を惹いた。全て奥様からの寄贈によるもので、資料などは初めて観るものばかりだったが、作品自体は馴染みのあるものだし、作家との交流が僕自身にもあったので、高知県立美術館のこれまでを総括するような企画展に大きく取り上げられていたことが、タイミング的なものがあったにしても大いに嬉しく感じられた。



しかし、“1
新たなコレクション”に展示されていたものが全て寄贈品ばかりであることが少々気になったところ、収集における経年状況がグラフと共に示されていて驚いた。僕が在職していた'93年の開館時、作品収集については1億円の文化基金で対応することになっていて、収集すべき作品を購入した後は、予算化して積み増し補填するのがルールだった覚えがある。ところが、2005年以降、県による購入は一切なくなっているとのことで、その後、わずかに購入した作品は、運営経費をやりくりして捻出した作品収集費外の資金によるものとのこと。現在の文化基金がどうなっているのかと、公表されている高知県の平成30年度の基金運用状況審査意見書にあたってみたら、基金総額は38億8千8百万円だが、絵画等に形を変えていない定期預金等は814,000円しか残っていない。確かに、これでは作品収集に充てることはできないだろう。“3
コレクション・ハイライト 1980-90’s”には、現在の評価額だと、仮に作品収集費が手当てされていたとしても到底購入できそうにないジャン=ミシェル・バスキアやゲルハルト・リヒターの作品が展示されていた。リーフレットの記載によれば、バスキアの『フーイー』'82]の昨年の貸出輸送に際して提示された保険評価額が約13億円だったそうだ。保険評価額でさえ購入額の約43倍になっているわけだ。



そのほか、“3
コレクション・ハイライト 1980-90’s”に展示されていた『黒いスープ』'84]に穴が開いていることに初めて気づいたり、『ヒストリカル・ランドスケイプ』'93]を久しぶりに観て、この作品自体はさほどでもないながら、福田美蘭が好きだったことを思い出したり、“2
めぐりめぐってこの場所へ”にあった篠原有司男の『空海現る』'95]とアート電車制作風景の写真スライドを観ながら、レッド・グルームスによる最初のアート電車の制作を学芸員から持ち掛けられ、降って湧いた話で予算化されていないなか、どうやって実現させるか難儀したことなどを懐かしく思い出したりした。最初に話があったとき「それは面白い、何とかしたいね。」と言ったら、「予算計上されてないのに、事務の方に最初にそう言ってもらえて凄く嬉しいです。」と相好を崩した学芸員も今は在籍しておらず、僕がいた開館時の6人の学芸員で現在残っているのは、今の学芸課長1人だけになっている。



続く「保存」もまた、3つのカテゴリー“4
忘れえぬこと”“5 作品は何でできている?”“6
アーティスト・インタビュー”によって構成されていた。最初の“4 忘れえぬこと”では、'98年の豪雨災害で1階が水没した際に被災した108点のなかから、4点の油彩画が展示されていたが、被災写真との対照のなかで、その凄い修復技術に恐れ入った。それゆえにこそ、修復の手はどこまで施すべきものかを問う提起は、作品が作品として負うべき歴史の痕跡と外観の問題及び作者の意図しない人の手の介入の問題について観賞者に考える機会を与えるものになっていたように思う。'98年豪雨の被災時には作品外の備品についての台帳も散逸したとのことで、開館当時の調達業務を直接的に担った職員としてその再現と確認に駆り出された覚えがある。



次の“5
作品は何でできている?”に展示されていたアンゼルム・キーファーの『アタノール』'88-91]は、平成5年の開館記念展で正延正俊の『作品 65.2』と並び、僕の目を一際惹いたお気に入りの作品だ。表面をバーナーで焼いたような作品には当初から焼け焦げて破損している部分が随所にあって、この状態で何年も持ち堪えることができるのだろうかと懸念したが、四半世紀を過ぎた今観ても、当時心配したような変容には見舞われておらず、その保存に感心した。確か幾度か貸し出しにも応えたように記憶しているが、キーファーは「
自分の作品は、外観は大変デリケートで脆そうに見えるかもしれないが、実は非常に耐久性がある」(頒布リーフレットP17)と言っていたそうだ。



美術館のエントランス正面の階段に掛けられているフランク・ステラの『ピークォド号、薔薇蕾号に遭う』['90]は、美術館ホールのホワイエに架けてあるニコラ・デ・マリアの『グロリア』['88]ともども開館時にどこに据えるか場所に難儀した作品だが、他の場所に置き換えようもなく四半世紀も居続けるなかで、両作ともそれぞれの場所をシンボライズする県立美術館の顔と言える作品になっているように思う。だが、出しっ放しにされているがゆえに汚れや埃の溜まりようが激しく、とりわけ立体作品である『ピークォド号、薔薇蕾号に遭う』は接合部の劣化もあって修復を要したとのことで、その修復・組立作業を記録した映像が展示されていて目を惹いた。



最後の“6
アーティスト・インタビュー”に設えられていた『モリクラ・マシーン』'98]の森村泰昌インタビュー映像と『ヒノマル・イルミネーション』'92]の柳幸典インタビュー映像は、本展の企画趣旨に適ったなかなか興味深いものだった。


 これまで開催されてきた展覧会のなかでも好企画の上位に来る展示だったように思われるだけに新型コロナ禍によって本来の会期の大半が休館になってしまったことがとても残念だった。









  ヤマ

http://www7b.biglobe.ne.jp/~magarinin/


   (『間借り人の映画日誌』)

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   (『ヤマさんのライブ備忘録』)





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