2018年02月04日

現代地方譚5 アーティスト・イン・レジデンス須崎関連企画『須崎のまちの物語』









'18. 1.28. 会場:高知県須崎市立市民文化会館大ホール


 主催の「すさき芸術のまちづくり実行委員会」というものがいかなる経緯で生まれたものか、かつて文化行政に関心を抱いていた者としては、気になる公演だったものの、一時間程度の公演に往復二時間余も掛けることになる少々遠方に会場があることから、映画観賞のほうを優先して見送りかけていたのだが、行ってみて良かった。思った以上に響いてきたのは、現に須崎に暮らす人の取材をしてみて劇作家の心を捉えた話をモチーフに、作品作りをしていたからなのだろう。血の通った話はやはり強いと改めて思った。


 リーディング作品としての上演となっている割には、演者のほとんどがろくに台本を観てなかったり、衣装や小道具、ベッドの搬入などがあったのは、作品企画のブレと言えなくもないながら、僕には効果的に作用してきたように思う。もっとももしかすると、リーディングだけで勝負するのが心許なかったからなのかもしれない。


 戦時中の逸話や、須崎の街が非常に活気づいていた時代の話、高知県で最初に鉄道が敷設されたのは須崎港からだったといった街の歴史などを『あいつの右手と十四年式拳銃(作・演出:吉良佳晃)』『いももち(作・演出:西本一弥)』『銀の海。銀の魚。(作・演出:サカシタナヲミ)』「まちの声(構成:吉田剛治)」によって描き出していた。


 ややもすると主題が時代にあるのか須崎にあるのかぼやけてきかねないものを、三作品の合間に三人の女性の雑談めいた「まちの声」を入れる構成にしたことが功を奏して、須崎という土地が主題であることを鮮明にしている工夫にちょっと感心していたら、そういう小技を利かせなくても、それ自体で堂々たる「須崎のまちの物語」になっている『銀の海。銀の魚。』が最後に出て来て、すっかりやられてしまった。


 '60年代に全国各地で始まった“青年の船”を通じて出会い、まだ田舎では恋愛結婚など珍しかった'70年代半ばに二十二歳で春野から須崎に嫁入りしてきた女性の今に至る人生の歩みを物語るなかで、今や失われた“昭和の時代の女性の生き様”と彼女が到達した人生観を伝えて圧巻だった。せわしくも同じ日々を繰り返す単調を効果的に描出していたリフレインが利いていて、まさしくかような日々が鍛え上げた生活者のものとして立ち現われていた“須崎を愛する境地”が感動的だった。


 この『銀の海。銀の魚。』ではあまり気にならなかったのだが、そのほかでは、高知に暮らす人々によって高知の言葉で演じられているにもかかわらず、イントネーションやアクセントに違和感のある演者が少なからずいて驚いた。映画などでは、全国公開を前提にするために訛りがきつすぎると伝わらないことに配慮してあえて標準語に近づけたりもするようだが、地元公演においてその必要はなく、どうしてそうなるのか不思議な気がした。出演者に少なからず県外からの移住者が含まれていたのではないかという気もするが、もしかすると、地元出身者であっても、生活の言葉ではない芝居の台詞となると、言葉自体は方言でもイントネーションやアクセントが舞台調になってしまう者がいるのかもしれない。実のところは、どうだったのだろう。











  ヤマ

http://www7b.biglobe.ne.jp/~magarinin/ 

    (『間借り人の映画日誌』)

http://www.arts-calendar.co.jp/YAMAsan/Live_bibouroku.html

    (『ヤマさんのライブ備忘録』)





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2018年01月17日

劇団文化座公演『三婆』(高知市民劇場第330回例会)









'18. 1.16. 会場:高知市文化プラザかるぽーと大ホール


 '65年のあの日、かぼちゃ婆の正妻松子(佐々木愛)がもし撤回しなければ、十年後の'75年には四人とも既にこの世を去っていたに違いないと思った。老境にあっての一番の酷が孤独に他ならないことを印象深く描出していた気がする。


 原作者(有吉佐和子)が女性だからかもしれないが、三婆のみならず若い花(山粼麻里)も含め、女性の暗部が鮮やかに炙り出されていたように思う。そこを笑いに仕立てている作品であることが明確に伝わって来つつも、その見事な鮮やかさに生なリアルさを感じて、笑うに笑えない辟易が湧いたりもしたのは、自分が女性ではないからかもしれない。女性たちに比べると、重助(佐藤哲也)や辰夫(筆内政敬)といった男性陣は、老いも若きも、実に素直で他愛もない存在であることに微苦笑を誘われた。


 それにしても、三婆それぞれのキャラ立ちは流石だった。とりわけ際立っていたのが電気クラゲの小姑タキで、演じていた有賀ひろみに感心。キツネと呼ばれていた妾の駒代(阿部敦子)もなかなかのキャラだったけれども、やはりタキには及んでいなかったような気がする。


 '75年と言えば、翌年に大学進学で僕が上京した時期だ。美濃部都政下にあり、本作でも無料化された老人医療費の話とともに高齢者の都営交通無料パスやら多摩動物園の入園券の配布やらがされていた。かつての高齢者福祉の手厚さを見せているようでもあり、行政の福祉サービスというものが、高齢者が生きていく上で真に必要なサービスとはズレていることを風刺しているようでもあり、微妙なニュアンスとなっていたことが時代状況の隔世を語っていて興味深かった。また、舞台では60代から70代の婆として語られていたが、観ている側の感覚からすれば、最後の場面は70代から80代でないとしっくりこなくなっている気がする。


 ちょうど三十年前となる '88年9月の例会で観たときの文化座公演は脚色・演出とも小幡欣治だったものが、当然ながら、演者・演出とも違っているものの、同じ小幡による台本を使っているから、70代〜80代にはならないわけだ。当時、三十歳だった僕が『三婆』をどう観たのかと思って探してみたが、観賞メモを残していなかった。あの頃は、今のような例会感想文集を発行していなかったのか、自分が寄稿していないので残していないのか不明だが、少し残念に思った。








  ヤマ

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2016年09月26日

アーツカレンダー演劇情報投稿について

フェスティバル/トーキョー16



 



パク・グニョン×南山芸術センター



『哀れ、兵士』



作・演出 : パク・グニョン (劇団コルモッキル)



 



2016年10月27日(木)〜10月30日(日)



 



会場



あうるすぽっと



 



日程



10月27日(木) 19:30



10月28日(金) 19:30



10月29日(土) 14:00★



10月30日(日) 14:00



 



★=終演後、ポストパフォーマンストークあり



※その公演のチケットをお持ちの方は日時を問わず入場可(ただし終演後)



ゲスト



10/29 (土) 14:00の回   パク・グニョン×市村 作知雄 (F/T ディレクター)



 



上演時間



100分



 



言語



韓国語上演、日本語字幕



 



チケット



一般    3500円



当日券   4000円



学生    2300円※当日券共通。当日受付で要学生証提示



高校生以下 1000円※当日券共通。当日受付で要学生証または年齢確認可能な証明書の提示



 



※チケット払い戻し、観劇日時の変更はできません。※未就学児の入場はお断りいたします。※車椅子でご来場のお客様は、スムーズなご案内のためF/Tチケットセンターまでご連絡ください。※チケット料金には消費税が含まれます。※障害者割引 一般前売チケットのみご本人様10%OFF、付添いの方(1名)は無料。F/Tチケットセンター電話予約のみ取扱。(当日受付で要障害者手帳提示)



 



説明 



「生きたかった人々」の記憶が投げかける、「いま、ここ」への問い



劇団名でもある「路地」に生きる庶民の視点から、現代社会の諸問題に大胆に斬り込む、劇作・演出家パク・グニョン。『蛙』(2013)での元大統領をめぐる風刺表現をきっかけに助成金申請の辞退を強いられるなど、国家と芸術表現の間で格闘する彼が、南山芸術センターの協力を得て、この3月に発表した話題作がF/Tに登場する。2015年の脱走兵、1945年の朝鮮人特攻隊員、2004年のイラクで米軍に食品を納入していた業者、2010年に北朝鮮をのぞむペクリョン島付近で沈没した哨戒艇の乗組員たち。本作では、時間と場所の異なる4つの「生きたかった人々」のエピソードが併行して描かれる。国や社会に翻弄された彼らの生きた軌跡、時には笑いさえ交えた記憶の集積は、やがて重いパンチのような「歴史」となって、いまを生きる私たちに迫りくる。被害者/加害者とは誰を指すのか。戦争はどのように始まるのか。真の戦線は、どこにあるのか――。



 



公演サイト



http://www.festival-tokyo.jp/16/program/all_the_soldiers_are_pathetic/



 



チケット取扱い



F/Tチケットセンター festival-tokyo.jp



東京芸術劇場ボックスオフィス http://www.geigeki.jp/



チケットぴあ http://w.pia.jp/t/festival-tokyo/  [Pコード 561-202]



カンフェティ http://www.confetti-web.com/ft2016





としまチケットセンター http://owlspot.jp/



--------------------------以上、掲載希望------------------------------------


-----------------------------------以下、掲載希望--------------------------------------------

フェスティバルトーキョー16



 



Woodcutters
― 伐採 ―』



翻案・美術・照明・演出 : クリスチャン・ルパ



: トーマス・ベルンハルト



 



2016年10月21日(金)〜10月23日(日)



 



会場



東京芸術劇場プレイハウス



 



日程



10月21日(金) 16:00●



10月22日(土) 16:00○



10月23日(日) 13:00●



受付開始は開演1時間前、会場は30分前。



 



●=開演前、劇場ロビーにてプレ・パフォーマンストーク有り。



  10月21日(金)
15:10-15:40



  10月23日(日)
12:10-12:40



  ゲスト



  久山宏一(ポーランド広報文化センター ポーランド演劇・映画担当)



   ×横堀応彦 (F/T プログラム・コーディネーター)



 



○=開演前、劇場ロビーにて演出家によるスペシャルトーク有り。



  10月22日(土)
11:00-12:30



  ※要予約。定員50名



  ゲスト



  クリスチャン・ルパ   モデレーター 鴻英良(演劇評論家)



 



上演時間



260分(途中休憩20分あり)



 



言語



ポーランド語上演、日本語字幕



 



チケット



一般       5500円



当日券     6000円



学生    3000円※当日券共通。当日受付で要学生証提示



高校生以下 1000円※当日券共通。当日受付で要学生証または年齢確認可能な証明書の提示



 



※チケット払い戻し、観劇日時の変更はできません。※未就学児の入場はお断りいたします。※車椅子でご来場のお客様は、スムーズなご案内のためF/Tチケットセンターまでご連絡ください。※チケット料金には消費税が含まれます。※障害者割引 一般前売チケットのみご本人様10%OFF、付添いの方(1名)は無料。F/Tチケットセンター電話予約のみ取扱。(当日受付で要障害者手帳提示)



 



説明



スタイリッシュな空間に映し出される、芸術と社会の退廃



 洗練された空間設計と深い教養に裏打ちされた鋭い批評性で知られるポーランドの巨匠、クリスチャン・ルパの話題作がついに日本初演を迎える。オーストリアの作家、トーマス・ベルンハルトの小説をもとにした本作の舞台は、自殺した女優の葬儀の後に開かれた「アーティスティック・ディナー」。国立劇場の俳優、作家、ホストをつとめる地方劇場の支配人夫妻……パーティーに集う人々は、友人の弔いもよそに、いつものように酔い、不平不満と自虐、自慢の応酬を繰り広げる。いつ終わるとも知れぬ空虚な時間。だがやがて、彼らは本音を吐露し、互いを批判し始め――。



 実際の出来事をもとに執筆され、後に裁判沙汰ともなった原作の衝撃が、ルパの仕掛ける退廃的空間を通じて客席に伝播する。その辛辣な批判の刃は、グローバル化の下で自らの進む方向さえ見失った現代社会と理念なき芸術に容赦なく斬りかかる。



 



公演サイト



http://www.festival-tokyo.jp/16/program/woodcutters/



 



チケット取扱い



 



F/Tチケットセンター festival-tokyo.jp



東京芸術劇場ボックスオフィス http://www.geigeki.jp/



チケットぴあ http://w.pia.jp/t/festival-tokyo/  [Pコード 561-201]



カンフェティ http://www.confetti-web.com/ft2016


--------------------------------以上、掲載希望-------------------------------------

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